内容紹介Introductions
全くの投資素人集団がわずか2週間の研修プログラムによって、次々と巨額の利益を上げていくというセンセーショナルなストーリーはトレーディングの世界では、あまりにも有名。その集団の名は「タートルズ」。
全米のトレード業界を驚愕させるパフォーマンスを実現させた舞台裏には、ある課題について意見の対立した2人のカリスマトレーダーの存在があった。わずか400ドルをトレーディングによって2億ドルにまで増やした伝説的トレーダー、リチャード・デニスとトレーダーにして数理論理学の専門家ウィリアム・エックハート。「トレーディングは訓練次第で成功できるか?」2人の実験からすべてが始まった。
タートルズのメンバーは彼らにどのようなトレード手法を伝授されマーケットを席巻していったのか?トレードの手法やルールなどを含めた実験の全貌を描いた異色ノンフィクション、待望の復刻!※本書は、2009年2月に日経BP社から刊行された『ザ・タートル 投資家たちの士官学校』の復刻版で、米国ペーパーバック版で新たに書かれた「著者あとがき」を掲載しています。
●「監訳者まえがき」より一部抜粋
実験の目的は、「トレーダーとして成功するのに必要なのは才能なのか、それとも教育によるものなのか?」を明らかにすることだった。この実験でデニスは、タートルたちにさまざまな知識を与え、訓練を施し、さらには資金までも提供し、わずかな期間で大きな収益をあげる有能なトレーダー集団に育てあげることに成功した。つまりトレードは、誰でも学べるということを証明したのだ。当時、門外不出であったトレードの手法やルールなどを含めた実験の全貌を記したのが本書である。ちなみにデニスは、わずか400ドルの自己資金をトレーディングによって2億ドルにまで増やした稀なるトレーターだ。本書では、この伝説のトレーダー、リチャード・デニスの具体的なトレーディング手法と彼の生涯についても触れている。
本書は、タートルズというトレーダー集団を中心に据えたトレーディングの俯瞰書である。同時に、人生を生き抜くための俯瞰書でもある。なぜなら、勝ち馬への乗り方、つまり大きなトレンドの種を見つけ、それを逃さずに乗るという考え方は、どの世界にも通用するからだ。そして大切なことは、リスクを恐れないことだ。タートルたちが選抜されたのは、リスクを厭わないという理由だった。そのような視点で本書を読むと、また別の発見があるかもしれない。なお、この復刻版には、アメリカでのペーパーパック化に伴い、『ザ・タートル──投資家たちの士官学校』に掲載されていなかった新たな内容のあとがきが加えられている。一度読んだことのある読者には、特に興味深いあとがきに注目してほしい。本書を、トレードはもとより、人生のあらゆる場面にも役立てていただければ、幸甚である。
●「著者あとがき」より一部抜粋
私がタートルズに関して書いたいくつかの点について、これまでのところ四人のタートルが一度ならず告訴すると脅してきた。そうしたリアクションからも、本書をまとめる作業がどれほど険しい道のりだったか、おわかりいただけるだろう。著者というものは常に、作品が読者から高く評価されれば満足感を得るものだが、うれしいことにこの数ヵ月の間、本書はまさに私に満足感を与えてくれた。しかし私にとって本書を世に出すまでの経験は、タートルズをテーマにした大好きな物語にのめり込む時間だったといえる。
ウォール街は、世間から崇拝されるような金儲けの神様を作りあげることが大好きだ。神様の中には称賛に値する者もいれば、そうでない者もいる。誰が本物で、誰がそうでないかを見極めることが、私の仕事の醍醐味だ。タートルに関する調査を終える頃には、ひとつのストーリーが浮かび上がってきた。すなわち、何人かのタートルは真実を解き明かし、広く世に知らせたいと思っている一方、他の何人かは、まるで冷戦下のCIAの作戦を闇に葬ろうとするかのごとく、すべてをひた隠しにしようと躍起になっていたのだ。
●監訳者の遠坂淳一氏が代表をつとめるJK WILTON & COMPANYより
世界の大手ヘッジファンドでも採用されている「トレンドフォロー戦略」。本書では日本でも有名なマン社やウイントン社、等も採用をしているこの「トレンドフォロー戦略」をより具体的に解説をしています。この戦略については、投資家にとってもトレーダーにとっても、必須の知識といえるでしょう。なぜならこの戦略は広義ではあらゆる局面で活用可能だからなのです。更に本書では「トレンドフォロー戦略で収益を上げる」ための手法を具体的に説明するのに留まらず、それを踏まえた上で「トレーディングにおいて何が難しく、何が最も重要なのか?」という点に一歩踏み込んで書かれている点にも注目をして欲しいところです。
出版社からのコメントComment
まわりの他人より少し想像力に富んでいる人なら、この物語は本当にワクワクしながら読めると思います。投資に興味を持っている人はもちろんのこと、これまでまったくこの分野に関心のなかった人も緻密かつ大胆なストーリーにエキサイティングし、一気に読み終えてしまうことでしょう。これぞインベスタードリーム!
もし、あなたが新聞の求人広告でこんな奇妙な文章を見かけたら、どう思う?『業務拡大につき人材募集:400ドルを2億ドルに増やした独自のトレーディング手法を教えます。投資経験は歓迎するが必要条件ではない、経験は不問です。』怪しさ満載?危ないビジネス?誰もが疑いの目を持ってしまいそうですが・・・、実は、これが後に全米マーケットを席巻することになる伝説の投資集団「タートルズ」のはじまりなのです。
ズブの投資素人の寄せ集めが、たった2週間の訓練で世界最高水準のトレーダーとして養成されたなんて!ノンフィクションとは思えない物語の展開にきっとあなたは自分を登場人物に重ねあわせて、エモーショナルな世界へと惹きこまれていくはずです。
物語の舞台は1980年代の米国シカゴ―。そこに「立会場(ピット)の貴公子」と呼ばれた男がいました。その人物の名は、リチャード・デニス。マーケットから莫大な収益を上げ続けていた尋常ではない洞察力はマスコミでも取り上げられるほど。しかし、彼は自分の運用能力が優れているのではなく、適切な指導を受ければ誰にでも出来ると考えていました。それに異を唱えたのが高校時代からの友人である数理論理学の専門家、ビル・エックハートでした。
「トレーディングは訓練次第で成功できる」というデニス、「トレーディングの能力は天賦の才」というエックハート。二人のカリスマは議論の末、それなら実験をしてみようと公募した1000人の中からメンバーを選んだのです。
ウォール街での実務経験などまったくない素人集団ははたして二人のカリスマにどんなトレード手法を伝授され、ビリオネア(億万長者)へと変貌していったのか?
本書はその誕生エピソードをはじめ、具体的ロジックを盛り込んだ実験の内容や運用成績、その後の彼らの姿にまで踏み込んだストーリーを書き綴ったものです。誇張されたハリウッド映画の台本ではありません。すべて現実にあったお話です。脳裏にイメージ映像を描きながら読み進めてみてください。
ちなみにこの復刻版で追加されたあとがきは33ページもあり、これまた読み応えのある、いわばスピンオフ。4人のタートルが著者を告訴すると脅してきた?!タートルズのネーミング由来に衝撃の真実?!最後まで興奮させてくれるものです。
目次Index
監訳者まえがき
まえがき
謝辞
第1章 生まれか?育ちか?
第2章 立会場の貴公子
第3章 実験開始
第4章 哲学
第5章 ルール
第6章 タートル誕生
第7章 不公平な資金配分
第8章 ゲームオーバー
第9章 独り立ち
第10章 デニス、ゲームに復帰する
第11章 チャンスをつかんだ男
第12章 「負け組」のタートル
第13章 タートル第二世代
第14章 偉大なるお手本
あとがき
付録I タートルたちのその後
付録II タートル関連ウェブサイト
付録III トレーディングを続けているタートルたちの運用成績
付録IV 実験中のタートルたちの運用成績
各章の注
監訳者あとがき
著者についてAuthor
マイケル・W・コベル(Michael W. Covel)
世界的に有名なウェブサイト「タートルトレーダー・ドットコム」の創設者で、著述家にして起業家。伝説のトレーダー集団タートルズおよびトレンドフォロー研究の第一人者としても有名。第1作目の著書『規律とトレンドフォロー売買法』(パンローリング)は10カ国語に翻訳され、世界的ベストセラーとなった。第2作目の『伝説のトレーダー集団 タートルズの全貌』(FPO)は、伝説のトレーダー、リチャード・デニスとその教え子「タートル」たちの軌跡を綴ったタートル・ストーリーの決定版と評される。他に、『トレンドフォロー大全』(パンローリング)、『トレンドフォロー59の啓示』(FPO)、金融ドキュメンタリー映画「クラッシュ――賢明な投資家と愚かな羊たち」(FPOよりDVD発売)などがある。
新作『TrendFollowing Mindset』では、ジャック・D・シュワッガー著『新マーケットの魔術師』(パンローリング)にも取り上げられた世界屈指のトレンドフォロワー、トム・バッソをフィーチャーしている(FPOより刊行予定)。また、トレンドフォローに関連する情報も精力的に発信している。ポッドキャストは1000タイトルを超え、世界的に有名なトレンドフォロワーやトレーダー、ファンドマネージャー、ノーベル賞受賞者などにおこなったインタビューを公開。現在もタイトル数を伸ばしている(通訳版はFPOより順次リリース予定)。
[監訳者] 遠坂 淳一(とおさか じゅんいち)
東京及び米西海岸在住。株式、債券、不動産、保険などの助言を国内法人や富裕層などに行う。山一証券等を経て一九九六年から海外投資、資産運用、ウエルス・マネジメントにかかわるウェブサイト(www.jkwilton.com、www.private-bank.jp)の運営、コンサルティングを手がける(株)ジェイ・ケイ・ウィルトン・インベストメンツ、および投資助言・代理業登録業者(2256号)のマイ・ウエルス・マネジメント(株)代表取締役を務める。訳書に『LTCM伝説──怪物ヘッジ・ファンドの栄光と挫折』(東洋経済新報社、共訳)、『ヘッジ・ファンド投資入門』(ダイヤモンド社)、『αを探せ!最強の証券投資理論──マーコヴィッツからカーネマンまで 』(日経BP社)がある。東京生まれ。米ピッツバーグ大学MBA。
[翻訳者] 秦 由紀子(はた ゆきこ)
上智大学外国語学部英語学科卒業。翻訳者。金融・法律・経済分野の翻訳を手掛ける。訳書にデビッド・N・ドレマン著『株式投資は心理戦争』、ジェームズ・P・オショネシー著『ウォール街で勝つ法則』(共にパンローリング刊)、ボブ・ウリチャック著『ペンを片手に夢を実現させる12の法則』(三修社刊)がある。
お問い合わせContact